古民家の壁に吸音ボックスを設置(概略)

吸音ボックス 環境構築

 日本家屋でドラムを叩くための防音対策として、まず始めに隙間をふさぐ、壁を厚くするといった対策をします。その後に、隣家に漏れる音を少しでも減らすために、古民家の壁に、吸音ボックスを設置してみました。吸音機能をボックス化することによって、壁に単に吸音材を貼ったときの4倍の効果があると言われています。試してみてはいかがでしょう。今回は概略を記載します。

既存の壁の補強

 吸音ボックスの効果を、少しでも高めるためには、古民家の壁を補強して、隙間をうめておくことが大切です。壁に隙間があると、せっかく吸音ボックスを設置しても、その効果は限定的なものになってしまいます。とくに築50年以上といった古民家になると、新築当時は堅牢な壁であっても、しだいに白壁と、枠の木材の間に隙間が生じて、防音的には不利な状況にあることが多いと思われます。そこで壁と木の隙間を確認します。以下の写真が天井にそった壁の上部の状態です。

壁の工事前の写真

壁の初期の状態と言いたい所ですが、実際には白壁と枠の木の間を、すでに多少、白いパテで隙間を埋めてありました。さらに遮音性強化のために、上からパテで厚く埋めていきます。それでも隙間が気になる場合は、角材をパテの上から木ネジで密着するように補強してもよいと思います。

木枠をつけて、パネルを張る準備

 隙間をパテで埋めたあとは、有孔ボードを貼るための枠を4面に付けていきます。なるべく箱の面積が大きくなるように、壁の木が一番出っ張っている所にあわせて木枠を設置します。このときの壁の厚みですが、厚ければ厚いほど吸音効果は高くなります。しかし壁の状態によってはそれほど厚くできない場合もあると思います。そんな時の判断基準としては、たとえ2センチ程度の厚みでも効果はあるといわれています。しかし、このボックスのなかに、グラスウールを有孔ボードにくくりつける形で挟み込みたいと考えています。グラスウールは密度が高いほど吸音性が高いので、厚み2.5センチで密度の高いものが候補となりますが、壁とパネルの幅が2センチだと押し込む形になるので、設置が難しくなります。つまり、厚みが2.5センチ以上取れるときは設置可能、それ以下の場合は他の方法を考えた方が良いかと思います。以下に、パネルを張る前の木枠を組んだ写真を載せておきます。

壁の工事途中の写真

白壁と木の枠の隙間を、黒いパテで埋めて壁の防音特性を向上させたあと、上下の平行に走っている木にあわせて、上から下に木をつなげて、箱状にする空間を準備しています。上の天井と壁の境目に横に走っている木材は、境目の隙間からの音漏れを減らすために木ネジで密着するように取り付けました。

パネルを取り付けて、吸音ボックスの完成

 パネルを取り付ける準備ができたら、この枠に合わせた大きさにベニヤ板を切り出します。板を切り出したら、取り付ける場所にあてて、裏側に木枠が来る場所と、穴を開ける場所にしるしをつけておきます。しるしをつけたら、木工用の作業台に載せて、ドリルで穴を開けていきます。穴の大きさはベニヤの厚さによっても変わってきますが、一般的に穴が小さいと、低音に効果があり、穴が大きいと高音に効果ありといわれています。つまり、ドラムやベースなど低域が出る楽器は、穴を小さめにして、歌中心というときは、少し大きめでいいと思います。大きさの目安としては、5ミリを基準として、前後するくらいでいいと思います。うちの場合は、なるべく広い周波数に対応させたいため、4ミリ、4.5ミリ、5ミリと三種類の穴を開けています。穴を開け終えたら、25ミリ厚の防音用のグラスウールをベニヤの穴を利用して落ちてこないように糸でしっかり縛り付けます。こうしてできたパネルを、壁に設置しておいた木枠に、木ネジでしっかりと取り付けます。こうして取り付けた様子が以下の写真です。

防音ボックスの完成

今回は、吸音ボックス設置の大体の流れを説明しました。木工経験者の方ならこの説明だけでも一人で設置可能と思いますが、だれでも木工に詳しいわけではないので、改めて詳しく作業の過程を写真入りで説明したいと思います。

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