歌はマイクでどれだけ変わるのか?

マイクの画像環境構築

 いままでは歌が中心の曲が少なかったので、マイクの選択について、それほど検討する事はありませんでした。しかし今度の曲は歌の部分が長く、歌中心の曲調となっています。そこで、いつもはセッティングしたままになっているマイクと、他のマイク取り出して比較しながら録音してみようと思い立ちました。その時の体験レポートとなります。

マイクの基礎知識

 マイクの比較に入る前に、おおまかにマイクについての説明を書いておきます。はじめに分けられるのは、ダイナミックマイクとコンデンサーマイクです。歌を録音する場合はたいていコンデンサーマイクのほうが多く使われます。コンデンサーマイクは本体とは別にファンタム電源が必要になるので、この電源を流してあげないと音が出ません。そこで、マイクプリアンプかオーディオインターフェイスについているファンタム電源のスイッチを押してやってオンになります。どっちが良いかと言うと、たとえオーディオインターフェイスにファンタムスイッチがついていたとしても、別にマイクプリアンプを用意したほうが音質面、モニター環境において有利になると思います。

MXL 990

MXLの990という型番のマイクです。MXLはアメリカのマイクメーカーです。1万円前後の価格帯でも実用性が高いというコストパフォーマンスにすぐれたメーカーです。私の場合は、ものぐさな性格からマイクをセッティングしたままになりがちです。そうするとマイクに付属のショックマウントアダプターのゴムが伸びてダラダラになってしまいます。その点、この990は専用のマイクホルダーがスタンドに直付けできるので、出しっぱなしにするのに都合が良かったというのが、いつも使っている理由です。買った理由としては、サウンド・レコーディングマガジンでほめていた事もあり、ノイズはないし、音質的にも満足していました。サウンドハウスの現在の価格では、8千円前後。平均的なヤフオクの中古落札価格は、5千円前後です。

SEIDE PC-M1D

SEIDEはドイツのマイクメーカーです。PC-M1Dは、その型番です。PC-M1という初代から、末尾にそのバリエーションとしてDとかFというようにつきました。最後がFでいまは廃盤になっています。初代のPC-M1が出たとき、サウンド・レコーディングマガジンの記事で業界定番のNEUMANN U87(45万円位)に似ていると書かれたことがあります。なぜ、今回このマイクを選んだかというと、家にあるマイクの中で一番古いものなので、その生死を確かめたいというのが一番の動機です。壊れていたら他のマイクに変えて、比較試験を続けようと思っていました。太さ、長さが平均的な歌録音用のコンデンサーマイクと一緒なので、ショックマウントアダプターも他のマイクのものを使いまわすことができます。出た当時の記事を調べてみると定価が8万8千円でした。平均的なヤフオクの中古落札価格が5千円前後となります。

Roland MMP-2

 今回の比較テストで使用したマイクプリアンプです。2ch仕様になっているので、比較するのに都合が良かったです。音についてはクセが無く素直な特性といわれています。このような特徴は逆に言えば個性が無いということになるので、マイクの特性がよりでやすいと思いました。発売当時の価格は、5万8千円位。平均的なヤフオクの中古落札価格は、5千円前後です。

音源の比較

 ここに、ほとんど同じ環境で録音した2種類の音源を載せておきます。マイクの特性がわかりやすいように、ノーEQ、ノンリバーブで、とった音にいっさい手を加えていません。そうすることで、マイクの音質の違いを感じてもらえるのではないかと思いました。

MXL 990

【砂の城】MXL 990

SEIDE PC-M1D

【砂の城】SEIDE PC-M1D

 この記事を書く前に、いろんなところでMXLのマイクの高い評価、たとえば「1万円で10万クラスのマイクに匹敵する」といったような話を聞いていたので、あまり違わないという結果になるのではと思っていました。ところが、こうして並べて聞くと、ものすごく違うということに驚きました。雲泥の差という言葉がありますが、カメラで言えば、コンパクトカメラと1眼レフ位の差があります。やはり値段でいえば、そうなって当然なのですが。

録音しているとき感じたこと

 この記事の前のほうに書いたように、ここ1年位、MXL 990を出しっぱなしにして、すべてこのマイクで録音していました。そこで、このマイクに慣れていることもあり、自分にとっては歌いやすく、音程もとりやすく感じます。そういったときに、SEIDE PC-M1Dに切り替えたとたんに、その歌いにくさに愕然としました。具体的に言うと、歌っているときにモニターしている自分の声の音程の悪さ、表現力の無さが、耳に突き刺さるようでした。10分くらいでメンタルをやられて、この企画は無かったことにして、普段使っているMXL 990に戻ろうと思いました。しかし、10分くらいが過ぎてくると、このマイクで歌を表現したいという欲望がわきあがってきました。でも、最初のうちは難しかったです。このことを、たとえて言うならば、ふだん50CCの原付バイクにしか乗っていない人間が、急に250CCの中型バイクに乗ったようなもので、バイクから振り落とされたり、コースアウトしたりと散々な結果になりました。でも、ほんの少しの救いは、よく聞いてみると歌の終わり頃になって音程があってきたり、表現を始めかけていることです。

 DAWのトラック上で、この2つのトラックを聞き比べてみると、音程とかまとまりは、MXL 990のほうが良いように思いますが、聞いていて面白いのは、SEIDE PC-M1Dのほうです。MXL 990のトラックは、じつはあまり聞き返したいとは思わなくなりました。そして、もうこのマイクを使って録音したいとは思わなくなりました。その理由は、SEIDE PC-M1Dで歌を録音しているときに感じる高揚感、つまり高域が耳を突き刺すような感じ、もっと表現しろとマイクが訴えかけてくるような感じがします。このマイクと歌い手が一体になるような感じは、さっきバイクを例に出しましたが、ライダーがバイクと一体になるような高揚感、あるいはカメラマンが1眼レフカメラと一体になり表現している感じと似ているのではないかと思います。つまり、歌はマイクと歌手が一体となって作るものかもしれません。

完成曲【砂の城】

 さっきのSEIDE PC-M1Dのトラックの歌にリバーブをかけて、ハモリパートを加えて、YouTubeに動画としてアップロードしたので、完成形としてここに載せておきます。歌はさっき聞いたトラックと同じです。

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